「訃報(ふほう)」と呼ばれる言葉を耳にしたら、「誰かが亡くなったんだな」と言う点までは理解できますが、「訃報ってどういった意味?」と改まって尋ねられると、もしかすると頭を悩ましてしまうのではないでしょうか。こちらでは、訃報とは何であるか、訃報を伝える相手方やその優先度、訃報の伝えかたや連絡方法、訃報であるからこその特別なルール等について知っておいてほしいと思います。
訃報とは何か?
訃報とは、誰かが亡くなられたという事実を、亡くなられた方の関係者に伝えるという意味です。そのことを伝える為の手段や方法といった意味も含まれると言っても構いません。因みに、訃の字には「人の死を知らせる」といった意味が、報の文字には「なんらかの事実を伝える」という意味がございます。
訃報(ふほう)をお知らせする相手とタイミング
訃報を知らせるタイミング
訃報は、亡くなったことが判明した段階で一刻も早く伝えるようにして下さい。一昔前であったら、地区内の掲示板や自治会の回覧板等の手段で伝えていたとのことですが、現在では電話やFAX、メールを通じて伝えるのが通例です。地域の慣習などに於いては規則に沿ったやりかたがあるのかも知れませんので、周囲の人にお聞きしてみるのも良いでしょう。
訃報を知らせる順番
訃報は、亡くなったことが判明した段階で一刻も早く伝えるようにして下さい。一昔前であったら、地区内の掲示板や自治会の回覧板等の手段で伝えていたとのことですが、現在では電話やFAX、メールを通じて伝えるのが通例です。地域の慣習などに於いては規則に沿ったやりかたがあるのかも知れませんので、周囲の人にお聞きしてみるのも良いでしょう。
近親者以外への知らせは葬儀日程が確定後でも可
近親者に対する連絡が終了したら、故人と親しかった友人や勤務先、ご近所へとお伝えしていくわけですが、お知らせするタイミングは葬儀の支度が確定してからお伝えしても遅く無いです。
詳細が確定してから案内すれば、1度連絡をするだけで大丈夫なのです。ただし、相手の方々も葬儀に参列することを考えてスケジュールを調整したりする都合が考えられますから、葬儀の前日や当日に訃報を伝えるなんてことが起きないように気を付けてください。
訃報をお知らせするべき相手
訃報は、片っ端から連絡すれば良いと言われるものではございません。葬儀に参列して頂いてもらいたい方に伝えるという事を踏まえたうえで連絡するものです。近親者は当然の事、故人が親しく付き合っていた友人、会社勤めの方であれば勤め先の上司や同僚等に対してもお知らせすることが求められます。自治会活動が活発な地域であるのなら、会長に訃報をお伝えし、そこから近所の方々に伝えていただくようにしてください。先々のお付き合いのことも考えられますから、礼儀と考えてやり取りしておいた方が賢明だと思います。
訃報をお知らせする際の優先度
1.近親者が最優先
最優先しておくべきなのは近親者(家族・親族)になります。葬儀に参列する為に必要な移動や宿泊などを考慮に入れることが必須である為に、遠方の親族から最初に連絡を入れた方がいいでしょう。
2.葬儀会社や宗教者
それらの次が、葬儀会社や葬儀を行なう宗教者です。ご遺体の搬送や安置等といった作業がある故に、先に葬儀会社へ伝えることによって、それ以降の準備がスムーズになります。
菩提寺とかが既に決まっているケースでは、予めお知らせしておけばそれ以降の支度がスムーズに進行します。葬儀が初めての場合は、故人やご家族の意向を考慮した上で葬儀会社が手配をしてくれるでしょう。宗教者へのお知らせは、遺族が行なうケースと葬儀会社が連絡を請け負ってくれるケースがあります。菩提寺が確定している場合は遺族が、確定されていない場合は葬儀会社が連絡を請け負ってくれる場合が大半です。
3.その他の関係者
次に友人知人、勤務先や学校、自治会や上記以外の関係者へと連絡を入れて行きます。勤務先や自治会等は、直属の上司や会長などといった代表者に連絡し、そこから先へのやり取りは任せるスタイルならば楽でしょう。連絡の食い違いを防ぐ目的のためにも、その様にした方が確かと言えます。
訃報はいつ伝えればよいのか?
訃報は早急にお知らせするのが原則ですが、時と場合によっては訃報を流すことを意図して遅らせるといったこともあります。特に、密葬や家族葬などで葬儀の参列者を最小限度にする場合は、葬儀後に訃報を伝える事もしかたがないと思います。このような場合は、これから先のお付き合いに影響する事を慎重に念頭に置いた上で判断することが不可欠となります。
密葬や家族葬である場合にも、高齢者や遠方に住む親族などに於いては、葬儀前にお知らせするのがマナーですから、亡くなった事を告げた後、家族で見送る事を告げるほうが良いでしょう。近親者以外は葬儀後のご案内でも構わないのですが、その際は事後報告のお詫びを述べるということがマナーとなります。
訃報(ふほう)をお知らせする方法
では、訃報はいったいどういう感じで伝えたら良いのでしょうか。
電話で伝える方法
訃報を伝える手立てとして一番いいのは電話です。知らせたいタイミングで迅速に正確にお知らせする事が出来ますから、親族には電話でお知らせするのが適切だと思います。
電話で伝える際のポイント
事前にお知らせする相手の名前と電話番号、優先順位やお知らせする内容と言われるものを一まとめにしておけば安心できると思います。連絡先が多いケースでは家族で手分けして連絡し、必要に応じてメモを取るように促してから、ゆっくりハッキリ伝える様に意識しましょう。「言った」「知らない」などといった間違いを妨げることが出来るので間違いないでしょう。
メールで伝える方法
デジタル化が進んだ昨今では、メールで伝える事も可能です。気心が知れた人や、仕事関連で速やかに知らせないといけない場合、電話が通じない時間帯などのケースは、メールで訃報を伝えるのも仕方がないと言えます。
電話で伝える際のポイント
メールの題名に「訃報」と入れ、葬儀の段取りが確定していればそれも併せてお知らせします。文面が同一であれば一斉発信する事も可能ですが、BCCでメールする等といった配慮が不可欠です。
ただし、相手が目上の方や年配の方の場合は、メールでは無くて電話か次に述べる文書での通知にする方がいいと考えられます。「訃報は電話や対面で直接行うもの」という考えを持つ世代の方もいらっしゃいますので、メールだと常識外れと捉えられ、不快感を抱かれる心配があるので気を付ける必要があります。
文書で伝える方法
手紙やFAXを利用して、文書でお知らせする手段もあります。他にも、自治会の掲示板や回覧板、電報等もこれに該当します。仕事関連でお世話になっている所へは、取り急ぎFAXでご案内する、といったケースもあります。手紙や電報は、耳の遠い高齢者などといった様に、電話での伝達が難しい方に対しての方法です。
FAX、手紙で送る際のポイント
FAXの場合は即時にお知らせする事ができますが、それ以外は相手に訃報が通じるまでそれなりの時間や日数が必要です。文書、特に手紙の場合は、葬儀までに相当の時間(目安は1週間程度)がある時のみを採用する方が良いと考えられます。
また、「連絡先が見当が付かないけれど何としてでも訃報を伝えたい」というケースは、新聞のお悔やみ欄を使う事が出来ます。個人情報保護の観点から最近は利用する方が減少していますが、連絡手段として検討するのも良いかもしれません。一般人がお悔やみ欄にお願いする時は地方版に掲載されるケースが多く、掲載料は無料といった所が一般的です。
SNSで伝える方法
現世のコミュニケーションツールであるSNSを利用して伝える事でも可能です。FacebookやTwitter、LINEなどがこれに該当します。SNSを使った訃報は一般的なものとは異なるため、家族間の緊急連絡や親戚の若い世代までににとどめる程度が得策です。訃報ですので、あんまりくだけた文言は好ましくありません。要件を簡潔に書きあらわす程度に使うのが望ましいと言えます。
訃報(ふほう)でお知らせするべき内容
訃報は、亡くなったことだけ伝われば良いというものだとは言えません。亡くなったのは当然の事、知らせるべき内容はいっぱいあります。
訃報を伝える際に知らせなければいけないことと、これに関する注意点につきましてお知らせします。
故人に関しての情報
絶対に必要不可欠な内容は、故人に関しての情報です。名前以外にもに、亡くなった日などをお知らせします。近親者には亡くなった経緯をお知らせすることも想定されますが、故人や遺族の意向によって知らせないケースがあります。
葬儀に関する情報
葬儀の日時、会場、葬儀の宗派や形態、喪主名と続柄を入れます。葬儀会場の駐車場の有無や最寄り駅についてもお知らせするほうが良いと思います。メールやSNSであれば添付機能が使用できますので、会場迄の地図や目印となる建物の写真などを送っておくことでより親切です。
連絡先
葬儀の日時、会場、葬儀の宗派や形態、喪主名と続柄を入れます。葬儀会場の駐車場の有喪主の所在地や電話番号などをお知らせするのが通例ですが、状況に合わせてメールアドレスやSNSのアカウントをお伝えしておくのも悪くはないと思います。これは、訃報を受けた側が香電報やお供え物と叫ばれているものを送ると言うのに連絡先が必要となるからです。
特に伝えるべき内容
故人の死因やそれまでの経緯につきましては無理に伝えなくても構わないのですが、特段の事情が見当たらない限りは、差しさわりが無い範囲でお伝えした方が無難です。それによって、参列者へご挨拶する時や弔電の中身などを考慮することが求められるためです。
家族葬や密葬は忘れずに伝える
また、最近増加してきた家族葬や密葬で葬儀を行なう場合は、葬儀会場に入ることが可能な人が制限されますので、近親者以外は参列不可能な場合があります。葬儀に参列可能である人数を限定する場合は、前もって案内しておかないと葬儀当日に混乱をきたす危険性もありますので、忘れないでその旨をお伝えしましょう。霊前への供物や供花、香典などの受け取りをお断りすることになる場合も同様です。「故人の遺志により…」という様な伝え方をしていけば、遺族の意向を汲み取って先方も配慮してくださると考えられます。
訃報(ふほう)を受け取ったらするべきこと
ここまで、遺族側から訃報をお知らせすることに関してお伝えしましたが、反対に訃報を受ける側はどうすれば良いのでしょうか。訃報をお知らせする側にルールやマナーがあるように、受け取る側にも振舞いや礼儀が求められるのです。ここでは、訃報を受け取った時の対応や返信内容などについてお知らせします。
訃報を受け取ったらするべきこと
1番大切なのは、故人や遺族に対する礼儀と配慮になります。まずはお悔やみの言葉を伝え、葬儀に参列するなら日時や場所、喪主の名前や連絡先などをメモ等に控えておくようにしてください。故人とのお付き合いの深さ次第では、手伝える事があった時に申し出ても構いませんし、遺族から依頼されることも想定されます。状況が許す限り引き受けることをお勧めします。
Fお悔やみの言葉の例
口頭でも文書でも通用する一般的なお悔やみの言葉としまして、
●このたびはご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます。
●ご遺族様におかれましてはさぞかしお力落としのことと思います。故人様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
といった内容であれば、ほとんどのケースで使えます。
ただし、「冥福」というキーワードは、仏式での葬儀であるのが判っている時だけ使用した方がいいです。あと「お悔やみ申し上げます」は口頭若しくは文面の両方とも使えますが、「ご愁傷様です」は口頭だけでしか使うことができませんので注意しましょう。
弔問の状況での覚えておきたい点
故人宅でも葬儀会場でも、弔問に伺うケースでは注意すべき点がいくつも存在します。気をつけなければいけない点についてまとめました。
早朝深夜に駆け付ける
訃報を受けたら一刻も早く弔問に伺たいと思うのは普通のことではありますが、早朝深夜の弔問は極力控えます。また、食事時と想定される時間帯の弔問も避けた方がいいと考えられます。
こちらから電話をかける
遺族から直接訃報を受け取った場合は問題ないのですが、こちらから電話してあれこれ言うのは非礼になります。その場合は、葬儀に参列してお悔やみの気持ちを伝えた方が良いでしょう。
こちらから故人との対面を願い出る
最後に一目でもいいからお顔を目にしたい、そう思っても、あなた自身から対面を願い出るのは失礼になります。遺族から「顔を見て話し掛けてあげてください」という風に勧められた状況のみ対面するようにしましょう。
長居する
故人宅だとしても式場だとしても、長居することは止めましょう。遺族は心身共に疲れ切っている事を察し、お悔やみを述べたらすぐに退出するように気を付けてください。ただし、近親者や特に親しい関係にあった場合は何か手伝うことが無いか伺い、できる限りお手伝いするようにするといいでしょう。
必要以上に励ます
故人宅だとしても式場だとしても、長居することは止めましょう。遺族は心身共に疲れ「泣かないで」「元気出して」「頑張って」など、遺族を励ます意味合いで言い表した言葉が、逆に遺族から見れば心をえぐり取られる様な言葉として受け止められてしまうこともあるでしょう。「何かあったら声かけてね」「手伝えることがあったら言ってね」など、思い遣りの気持ちが認識できるような声かけをすることに注意しましょう。
言葉の選び方に注意する
重ね言葉(くれぐれも、かさねがさねなど)というものは、不幸が連続するようなイメージを与えてしまうので使ってはならないと言われています。また、人の死を連想へ誘う言葉(死亡、死去、死ぬ、亡くなるなど)は使用しないのがマナーです。「ご逝去」「ご生前」「お元気だったころ」等といったように言い換えて伝えることに注意しましょう。
死因については尋ねない
遺族は短期間に様々な手続きや作業をしなければならないため、ある意味時間との戦いとも言えるはずです。お悔やみを告げる時は最小限度の会話に留め、長話にならないように心がけましょう。また、無理に死因を聞き出したり、度を越して遺族を励ますような声かけなどということは慎むようにするものです。